遺言制度は、人の生前における最後の意思をその死後法律的に保護し、実現するための制度です。法的に有効な遺言書がある場合、相続人は原則としてそれに従わなくてはなりません。遺言は満15歳以上であればすることができます。
遺言には法定の様式があり、様式の整わない遺言は遺言として有効になりませんのでご注意ください。「遺言として有効にならない」とは、遺産分割に対し法的拘束力を持たないということで、もちろん「最終の意思」の表明としては有効です。ただし、法的拘束力を持たないため、「争族」防止にはほとんど機能しないと考えておいた方がよいでしょう。
参考ページ「法定された遺言様式」
以下に遺言でできることを列挙いたします。(※印の部分は用語解説があります)
@財産処分に関すること
財産の処分
財団法人設立のための寄付
信託の設定
A身分に関すること
認知
未成年者の後見人の指定
後見監督人の指定
B相続に関すること
相続人の廃除及び廃除の取消※
相続分の指定※及びその委託
特別受益者※の相続分
遺産分割方法の指定及びその委託
5年間以内の遺産分割の禁止
遺留分※減殺方法の指定
相続人相互の担保責任の指定
C遺言の執行に関すること
遺言執行者※の指定及びその委託
<用語解説>
※相続人の廃除及び排除の取消
相続人の廃除とは、自己の財産を相続させたくない者を相続人から除くことです。ただし、相続権を自由に奪うことができるわけではなく、一定の要件が必要です。
「被相続人に対する虐待」「被相続人に対する重大な侮辱」「いちじるしい非行」のいずれかがある場合で、家庭裁判所に認められた場合に相続人の廃除をすることができます。相続人の廃除は生前行為でも遺言でもすることができます。
廃除の取消もまた家庭裁判所に認めてもらう必要があり、生前行為でも遺言でもすることができます。
※相続分の指定
相続分の指定とは、法定された相続割合とは異なる割合で相続財産を分配することです。具体的な指示をすることもできます。
例)長男3:次男1:三男1(法定では子の相続分は平等)
例)長男に家を相続させる。次男に農地を相続させる。
※特別受益者
生前に相続財産を授与されたものは、その分相続財産の取得が制限される場合があります。相続人間に平等を期するための制度です。
※遺留分
配偶者(夫または妻)と子には遺留分という権利が認められています。遺留分は、被相続人の恣意的な財産の分与(例 愛人への全財産の遺贈)により特定の近親者(遺留分権利者)が生活苦に陥ることがないよう相続財産の処分を制限する制度です。ただし、遺留分権利者がその権利を主張する必要があり、権利主張がなければ被相続人の意思どおりに相続財産は処分されることになります。
※遺言執行者
遺言執行者とは、その名のとおり「遺言」を「執行する」者です。遺言執行者が就任した場合、相続人は相続財産の処分をすることができなくなります。遺言執行者の就任が予定されている場合に、就任前に行った相続財産の処分も無効です。遺言の確実な執行を望む場合、外部の専門家に遺言執行者に就任してもらう方がよいでしょう。
自筆証書遺言 | 報酬額 |
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作成支援 | 54,000円〜 |
公正証書遺言 | 報酬額等 |
作成支援 | 97,200円〜 |
公証人費用 | 公証人に直接 |
証人費用2人分 | 証人に直接 |
秘密証書遺言 | 報酬額等 |
作成支援 | 54,000円〜 |
公証人費用 | 公証人に直接 |
証人費用2人分 | 証人に直接 |